渋谷事変で世界は一度、ひっくり返りました。人が人を信じる土台が崩れ、呪術師たちも「守る」「救う」を軽々しく口にできなくなる。そんな“地続きの地獄”の延長線で始まるのが、TVアニメ『呪術廻戦』第3期「死滅回游 前編」。2026年1月8日深夜からの放送開始が告知され、いよいよ物語は“勝ち残り型の呪い”へ突入します。GAME Watch+1
(ちなみに「前編」という名の通り、ここからは長丁場。だからこそ“最初の数話で心を掴む”仕込みがえげつないはずで、置いていかれたくない人は初回からリアタイ推奨です。)TVアニメ「呪術廻戦」公式サイト
視聴前の“超ミニ予習”(これだけ押さえると初回の刺さり方が変わります)
- 渋谷事変で「何が失われたか」と、虎杖が背負った“責任”
- 伏黒が抱える目的(誰を助けたいのか)
- 呪術界が「味方で固まって戦える状況」ではなくなった事実
ここから先は、バトルの密度も、情報量も、感情の振れ幅も一段ギアが上がる章。初見勢は「何が起きてる!?」と息を呑み、原作勢は「ついに来た…」と覚悟を決める。そんな、全員の心拍数を揃えにくるシリーズです。

目次
ルールが“物語”になる:死滅回游は呪術版バトロワじゃない
死滅回游の面白さは、ただ強い者が勝つ形式じゃないところ。結界(コロニー)に閉じ込められ、ポイント制で縛られ、参加者は“抜けること”すら簡単には許されない。さらに恐ろしいのが「ルール追加」という抜け道が用意されている点です。ルールは固定ではなく、意思と交渉で変えられる。つまり、戦いの主役は拳だけじゃなく“選択”そのものになります。
殴って倒して終わりではなく、「勝つために、何を引き換えにするか」「誰を救い、誰を見捨てるのか」が、ルールの隙間から立ち上がってくる。呪術廻戦らしいのは、答えがいつも“後味の悪い最適解”になりがちな点で、視聴者の倫理観まで揺さぶってくるところです。
そしてこの章、呪術廻戦の大事な概念「縛り(制約と報酬)」が、いちばん気持ち悪く機能します。縛りは強さのブーストにもなるけど、同時に“逃げ道を消す契約”でもある。だから視聴者は、キャラが何かを選ぶたびに「その選択、あとで取り返しつかなくなるやつ…」と胃がキュッとなる。説明回なのに、説明された瞬間に絶望が増える。そんなジャンルです。
虎杖×乙骨の緊張感:味方同士でも刃が向く世界


ティザーでも印象的に示唆されているのが、虎杖悠仁と乙骨憂太の対峙。
この二人は“同じ師”を持ちながら、背負っているものが決定的に違う。虎杖は「自分が生きることで誰かが死ぬ」罪悪感と責任を抱え、乙骨は「守るために、迷わず踏み込む」決断力を持つ。どちらも優しさから出発しているのに、正しさの矢印が同じ方向を向かない。ここが怖いし、最高に熱い。
死滅回游では、善意が裏目に出る地雷が多すぎる。協力した瞬間に足元をすくわれたり、助けた相手が次の脅威になったり、“味方”という概念自体が試されます。だから虎杖が誰と手を組み、誰に背を向けるのかは、バトル以上にドラマになる。視聴者は一瞬で「どっちが正しい?」と考え始めるのに、呪術廻戦はいつも“両方正しくて両方つらい”場所に着地させる。ここで心を持っていかれます。
さらに虎杖という主人公は、強くなることより「自分の存在をどう扱うか」で物語を動かすタイプ。勝っても救えない場面が続くほど、彼の言葉が変わっていく。その変化を“戦いの結果”として見せてくるのが、この章のエグさであり、面白さです。
新キャラ=新しい“呪い”の価値観:戦い方が一気に多様化


死滅回游の醍醐味は、プレイヤーが増えるほど戦いの種類が増殖していくところ。公式発表では、禪院直哉(CV:遊佐浩二)や天元(CV:榊原良子)などの情報も提示され、物語の歯車がさらに複雑になります。
呪術廻戦のバトルは、術式の相性・領域・縛り・条件戦が絡み合って“読み合い”になるのが魅力。そこに新キャラの思想や生き方が乗ると、戦闘はただの技比べじゃなく、人生観のぶつけ合いになります。「その発想で来る!?」という戦い方が出るたび、視聴者の脳内でルールが更新される感覚がある。
さらに死滅回游は“舞台が広い”。コロニーごとに空気が違い、遭遇するプレイヤーも呪いの濃度も違う。ひとつの街が、ひとつのダンジョンになる感じ。視点が切り替わるたびに新しいゲームが始まるので、飽きる暇がありません。前編は、その更新が連打されるフェーズです。
MAPPAの“動き”が最も似合う章:スピードと残酷さの同居
制作はMAPPA。監督は御所園翔太、シリーズ構成・脚本は瀬古浩司とされ、これまで積み上げてきた“呪術アニメ文法”を、さらに危ない方向へ伸ばしてくる布陣です。TVアニメ「呪術廻戦」公式サイト+1
死滅回游は、移動・奇襲・連携・一瞬の判断が勝敗を決める場面が多く、アニメーションの「スピード」と「間」がそのまま面白さに直結します。カメラが追い切れない加速、呼吸一回分のスローモーション、そこで刺さる効果音。MAPPAが得意とする“身体の説得力”が、ここで最大火力になるはず。
そして呪術廻戦は、痛みの描写がごまかされない。勝っても、救えても、どこかが欠ける。派手に動けば動くほど、残酷さも際立つし、その残酷さがキャラクターの選択を“軽く見せない”重みになります。観終わった後、楽しかったより先に「うわ…」が来る回が増える。だからこそ、次も観てしまう。
放送枠はMBS/TBS系の“スーパーアニメイズム TURBO”。週の終わりに心を削られる準備はOKですか?
なお放送前には、第1話・第2話を劇場で先行公開する企画(「渋谷事変 特別編集版」×「死滅回游 先行上映」)も案内されています。スクリーンで“導入の圧”を浴びてから本放送に入ると、体感の没入度が変わりそうです。
放送は毎週木曜深夜0時26分から全国同時放送とされています。夜更かしの言い訳が公式に用意されました。

まとめ:前編は「ゲームの説明回」ではなく「覚悟の宣告回」
死滅回游 前編は、ルールを理解した瞬間から面白くなるタイプの章……というより、理解した瞬間から“戻れなくなる”章です。渋谷のその先で、虎杖たちは何を守り、何を失うのか。自分の正しさが誰かの地獄になる世界で、それでも前に進む姿を見届けることになります。
1月8日、深夜0時台。眠気より先に、背中がゾクッとするはず。まずは放送開始までに「渋谷事変」を思い出しておくと、第一話の温度差で一撃くらいます。


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