さて、今回は2018年12月26日に
名古屋の老舗映画館 伏見ミリオン座で行われた
映画座談会についての記事です。
今の映画界を引っ張る2人の映画監督、武 正晴監督と内田 英治監督
、多方面で活躍中の映画プロデューサー 森谷 雄さんを招いて
現在の日本の映画界の事情や裏話などが聞ける貴重な座談会でした。
武 正晴(たけ まさはる)監督は、愛知県出身。
明治大在学中に自主映画を制作。
卒業後、助監督として工藤栄一、井筒 和幸らの作品に参加。
その後、監督作として「百円の恋」で数々の映画賞を総なめし話題を集める、
「嘘八百」、「銃」などの作品を世に輩出し
2019年には「きばいやんせ!私」が公開予定 日本映画界で今最も活躍中の一人で、
新作が注目されている。
内田栄治(うちだ えいじ)監督はブラジル生まれ
週刊プレイボーイ記者から脚本家となって監督へ。
「ダブルミンツ」、「神と人間」といった作品を上映
2019年には「家族マニュアル」が公開予定
映画プロデューサー 森谷 雄(もりや たけし)さんは
日本大芸術学部卒業後、テレビドラマの世界へ
「天体観測」「深夜食堂」などのドラマを手掛ける。
映画の主なプロデュース作品は「ロッカーズ ROCKERS」
「しあわせのパン」「ぶどうのなみだ」「雲天に笑う」など
2019年に「そらのレストラン」が公開予定
では座談会で特に興味深かった内容をお伝えします!
さっそくみていきましょう。
①原作ありきの日本映画
②絶望的な状況にある日本映画業界
③これから映画業界をめざす人たちへ
①原作ありきの日本映画
現在の日本映画は原作があって、それをベースに映画が作られているのが現状との事。
オリジナルの脚本で作られる日本映画は約5%ぐらいだとか
理由は、「この映画はヒットする」とある程度予測できないと、
なかなか映画化までできないから。
なのでベストセラーとなっている小説の原作が立て続けに映画になっているわけ。
そして原作者の意見もかなり重視される状況にあり
原作に映画ならではのテイストを加えるのもなかなか大変な作業らしい。
ただ映画監督側としては、映画になるとなった段階で
内容については映画制作側に任してもらえるのが理想と。。
ちなみにアメリカ映画のオリジナル脚本率は約40%!
アメリカには常にシナリオを探す専門の人たちがいるそう。
日本映画がいかに原作ありきの映画しか作る事しかできないかが
よくわかる結果となっている。
②絶望的な状況にある日本映画業界
●オリジナルの脚本はまず通らない。
原作ありきの日本映画。
●原作者全員ではないにしても、原作者と出版社の意向が強く働き
映画のクリエイターが思うように脚本を作れない状況
これらの状況を嘆く映画関係者は多い。映画のクリエイターが育たない。
そしてその状況を知ってか、日本ではなく海外で映画を作ろうとしている人も多くなっているとの事。
ただ、監督の皆さんが言っていたのは
面白い映画の脚本はオリジナルであると。
スター・ウォーズだって、バック・トゥ・ザ・フューチャー
だってオリジナル。
日本の映画業界は変わらなければいけない。10年ぐらいでは変わらない。
でも20年後変わっていたらいいなと。
③これから映画業界を目指す人たちへ
座談会では、お客さんから質問を受ける時間が。
中学3年生から
映画監督を目指すためにどうすればよいかという問いに
「今の時代はアイフォンでも映画は撮れる時代。
すぐ撮ろう! それがまず第一歩。
高校生で映画監督になった松本花奈という人もいる。」
映画好きの私としては、興味深い話ばかりで
撮影しながら取材していたのですが、聞き入ってしまいましたね。
ここまで日本映画が厳しい状況になっているというのは知りませんでした。
たしかに人気漫画や小説の映画化ばかりとなっている現状はどうかとは思っていましたが。
映画が、大きなビジネスの一つとなってしまっているため
失敗をしたくないと思う企業と面白いものを作りたいと考えるクリエイター
その溝は深まるばかりなんでしょうか。
オリジナル性あふれる映画がもっと増えるためにはどうすればよいか
日本映画について考えるよい機会でした。
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